火成岩は高温のマグマが冷却して固まってできる岩石です.マグマが固まるときの深さ(地下深くか浅いところか,あるいは地上に噴出して固まったか)に応じて,言い換えれば冷却の速度によって異なる組織をもっていて,深成岩・半深成岩(脈岩)・火山岩(噴出岩)に分けることができます.さらにマグマの成分(化学組成)によって図3のように区分されます.この図では鉱物の組み合わせが示されていますが,それだけでなくマグマから結晶ができる順序やできるときの温度がわかります.有色鉱物・無色鉱物ともに図の右側の鉱物が最初にマグマから晶出しはじめ,冷却して低温になると左側の鉱物が晶出して最後に石英が晶出します.そのために,右側の斜長石や輝石・角閃石などの鉱物はきれいな結晶の形(自形結晶)をしていることが多いのですが,左側の石英やカリ長石などはすでに結晶した鉱物の間をうめるように結晶するので多くの場合に不定形な形の結晶(他形結晶)になります.
深成岩はマグマが地下深くでゆっくりと冷却されて固まったもので,肉眼で十分に鉱物が見分けられるほど粗粒な結晶の組み合わせからできています.
・花こう岩に含まれる角閃石と黒雲母の結晶する温度と結晶した年代を調べると,マグマが500℃から350℃に冷却するのに300万年くらいかか ったという例もあります.2万年に1℃というとてもゆっくりとした温度の下がり方になります.
・火山岩はその名のとおりに,多くの場合は火山の活動に関係してマグマが急速に冷却されてできる岩石です.1000℃近くの高温のマグマがほと んど一瞬に固まるために,肉眼では見分けられないほど小さい鉱物か結晶しないでガラスとして固まった基質と少量のルーペで見分けられるくらいの鉱物(斑晶)とからなります.
・半深成岩は深成岩と火山岩の中間的な特徴を持つ岩石で,マグマが地下の浅いところまで上昇してきて固まってできます.そのために他の岩石の間に脈状に入っていることが多く,脈岩とよばれることもあります
図4:花こう岩の偏光顕微鏡写真
(横幅約4mm)
|
図5:安山岩の偏光顕微鏡写真
(横幅約4mm)
|
|