セミの質問コーナー

1●ブラジャーのあるのがオス?(大津市:32歳男性)

 セミが鳴くのはオスだけで,メスは鳴きません.捕まえたときに大きな音をたてるのがオスです.一方のメスはハネを振るわせたりして暴れるだけで,大きな音は出せません.

 捕まえてみればわかりますが,セミのどの種類でも,オスの腹(はら)側(脚のついている下側)に大きな腹弁がついています.メスにはついていません.オスにだけブラジャーがある?というわけですね.


2●ぬけがらで,オスかメスかがわかるの?(大津市:32歳男性)

 セミは幼虫からすぐに成虫になります.モンシロチョウやカブトムシのように「サナギ」がありません.だから幼虫の最後のほうになると,ハネの部分など,羽化したあとの身体の部分がだいぶ出来てきます.

 メスの成虫には卵を産むため管がありますが,この基になる部分は幼虫の時代にすでに出来ています.だから,ぬけがらだけでも,オスかメスかが区別できます.下の図を参考に,よく見くらべべてみてください.

 自宅の庭で夏休みに毎日ぬけがらを取ってしらべられたことがあります.セミの場合は,最初のほうにオスばかりが出て,だんだんメスが増え,やがてメスばかりが羽化していくことが知られています.


3●セミは土の中で7年間って聞いたけど,本当?(大津市:32歳男性)

 セミは長い間,幼虫として土の中にもぐっていることで,よく知られています.成虫になって鳴いている日数は,土の中にいる日数(年数)にくらべれば,本当に短いですね.

 ところで,「セミは土の中で7年」というふうに言われることが多いのですが,実際に何年間もぐっているのか,実はまだきちんと確かめられているわけではありません.

 アブラゼミやミンミンゼミでは,成虫が出て卵を産んだ夏から数えて,ちょうど6年目に,ニイニイゼミでは同じく4年目に,それぞれ成虫が出たことがあるのが観察されたことがあります.でも観察された数はそれぞれ1匹ずつと,たいへん少ないので,きっちりと4年とか6年とか,決まっているかどうかはわかりません.

 大阪の市街地で最もたくさん見られるクマゼミでは,植木鉢のアロエによる飼育で2年ほどで出たことが調べられていますが,実際の野外ではもっと長い年月がかかっているだろうと想像されています.


4●大阪府にヒメハルゼミはいないの?(大津市:32歳男性)

 西日本に広く分布しているヒメハルゼミ.シイやカシなど,冬でも葉っぱを落とさない,ドングリのなる樹がたくさん生えた森(照葉樹林)を好んですむ暖地性のセミの一種です.日本海側は新潟県,太平洋側は茨城県まで分布が知られていて,近畿地方でも和歌山県,奈良県や京都府などには生息地が知られていますが,大阪府には適した森がないせいか,分布は記録されていません.