ウラジロガシ Quercus salicina Blume
暖地の山に生える常緑高木。宮城県、新潟県から南に分布し、琉球、台湾まである。葉表面の光沢のある深緑色と裏面の雪白色が対照的で美しい。シラカシとは葉裏のロウ物質と毛の有無で区別できる。
[葉]は互生で長楕円状被針形から被針形。鋭尖頭で基部は広いくさび形。鋭い鋸歯があるが、時に不明瞭となる。表面に光沢があり、しばしば葉の縁が波打つ。この葉縁の波打つ性質は他のカシ類ではみられない。葉の裏面は黄褐色軟毛を散生するが、分泌されたロウ物質によって雪白色となる。この雪白色と軟毛がウラジロガシの特徴。落葉では、褐変した葉の表面と裏面の白色が対照的でよくわかる。ロウ物質は高温によって溶けるので、葉を火であぶると雪白色が消え、軟毛も観察しやすい。葉の形には非常に大きな変異がある。
[花]は5月。雄花序と雌花序があり、雄花序は当年枝の基部に、雌花序は当年枝の上部の葉腋につく。雌花に毛の多い点がシラカシと異なる。
[果実]は開花した年の翌年の秋、11月ごろに熟して落下する。堅果の頭頂部には毛があり、シラカシに似る。殻斗はリング状の総苞におおわれ、ビロード状の毛が密生する。
[樹皮]は灰黒色。白色で丸い皮目を散生し、裂け目はない。若い枝は淡緑紫色で小さな円形の皮目を散生する