シラカシ Quercus myrsinaefolia Blume

 公園などに植えられる常緑高木。関東では生け垣や庭園に普通に植栽され、山野の二次林の構成樹種としても一般的である。関西では谷沿いなどに多くみられる。幹や枝は比較的まっすぐのび、葉の細さと相まって、アラカシやアカガシに比べるとやさしい印象を受ける。

 [葉]は、狭長楕円形で細長く、基部はくさび形になる。先は鋭尖形。葉の上半分に低くて鋭い鋸歯がある。展葉時に絹毛を散生するが、後に無毛となる。葉の形は、非常に細長いものから長楕円形の葉形までかなりの変異をする。


 [花]は5月ごろだが個体により大きくばらつく。雌花序と雄花序がある。雌花序は、5個前後の雌花がつき、他のナラやカシ類に比べるとかなり長い。雄花序は当年枝の下部と短枝状の枝につき、雌花序は上部の葉腋につく。旧年枝上部の芽からは通常の枝が伸びるが、下部の芽からは雄花序をつけた短枝が伸びることが多い。短枝状の枝が出ると、その枝の生長は停止する。この結果、旧年枝下部からの分枝はほとんどない。

 [果実]は開花した年の11月ごろに熟す。堅果の頂端部には毛が密生し、総苞片の圧着した跡がくっきりとしたリング状に残る。この圧着痕の外側に輪状の深いくぼみがある。殻斗はリング状の総苞片で覆われる。


 [樹皮]は灰黒色。縦に細かい皮目がはいりアラカシに比べてすべすべしている。また、地衣類による円形や楕円形あるいは不定形の白い模様がでることがある。若い枝は黒紫色で、円形の小さな皮目がある。