コナラ Quercus serrata Murray
西日本の雑木林では最も普通の落葉高木。材を切った後の萌芽再生力が強く、炭焼きの重要な材料であった。大きさのそろった美しいコナラ林はかつての薪炭林の名残り。現在ではシイタケのほだ木として利用されている。秋には黄褐色から汚赤褐色に紅葉し、雑木林を彩る。
[葉]は互生し、長さ1 cm位の柄がある。葉身は長楕円形で先から1/3位のところが最も幅が広い。やや丸みのある鋸歯があり、葉脈が対応する鋸歯に入る。鋸歯の間隔は葉の先端で狭くなる。葉の裏には小さな白色の星状毛と汚黄色の絹毛があり、ルーペで観察できる。葉の裏はこれらの毛のために白色を呈し、この特徴は落葉でみるとよくわかる。
[花]は4月中旬から下旬に新葉の展開とともに咲く。葉が展開し終わる5月には開花が終了する。雄花序と雌花序があり、雌花序は当年枝の先端の葉腋につき、雄花序は下の方につく。また、短枝状の枝では芽鱗の中から多数の雄花序のみが下垂する。一つの雌花序には数個の雌花があり、柱頭は普通3つに割れている。雄花序には50くらいの雄花がつき、黄色の花粉をたくさん出す。
[果実]は開花した年の10月ごろに熟して落ちる。堅果は殻斗からはずれて先に落下し、その後殻斗のみが落下する。堅果と殻斗の形と大きさは個体によってかなりの変異をする。殻斗は鱗状の総苞片で覆われる。堅果の中には通常1個の種子があり、地上に落ちるとすぐ発芽する。乾燥には弱く、水分の供給をしないと1週間くらいで発芽力を失う。
[樹皮]は灰白色で縦に不規則なあらい割れ目がはいる。
落葉は堅果と殻斗の落下がほぼ終わるころに始まる。